最終更新:2019/06/22
今回は【アルギニン】についてです。
アルギニンは数多くのプレワークに入っていますよね?
言わずと知れた、血管拡張作用を引き起こすため成分になります。
そんなアルギニンですが、実に多様な効果を持っています!
なので、色んな効果について研究報告のエビデンスなどを提示して解説をしていきたいと思います。
・免疫向上
・心臓機能向上
・血管拡張
・ベストな摂取は同量のシトルリンと一緒に!
・摂取量はアルギニンは10-20gくらい!
*6gの摂取ではNO産生を起こさなかった研究報告もあるので最低でも10gがいいのでは?(初心者は5gからでもいいと思います。)
・摂取後30分で血中NO濃度がピークに!
→なので筋トレ開始から20分後〜1時間の間にガッツリとパンプ系筋トレで攻めたい!
Contents
アルギニンとは?
アルギニンはアミノ酸の一種で、体内で合成できる非必須アミノ酸に分類されます。
強いアルカリ性なので、後味が生臭いようなとても嫌な味がします。
アルギニンを買ってみた!
アルギニンHCLをiHerbで購入しました!
メーカーはお気に入りのALLMAXです。
HCLなので、強アルカリ性のアルギニンを塩酸で中和してくれているため、消化吸収的にも味や風味的にも一段と質が高いアルギニンになります。
私が買ったのはミニサイズ100gのものです。iHerbに以前はあったのですが現在(2019/2/15時点)では400gのものだけになっていますね汗。
400gで現在価格(2019/2/15時点)、¥2,709になっています。
アルギニンの効果は?
免疫力を高める
アルギニンには免疫力を高める効果は確かにありそうです。
1966〜2013年までの321人対象の合計11の研究から導き出したメタアナリシス(研究を統合して出した結論)では、アルギニンはT細胞を明らかに増殖させ、感染性の合併症の発症率を明らかに低下させる。と報告されています。
参考 参考文献2014.上海
筋血流量を増加させる
アルギニンは筋血流量を増加させることが報告されています。
・摂取の80分後に筋トレ(肘を伸ばす運動、10回×3セット、休憩2分)
・筋トレの方式はアイソキネティック(つまり終始全力)
・休憩中に採血
<結果>
レジスタンストレーニングの休憩中に筋血流量が優位の増加。
しかし、NO濃度、ピークトルク、総仕事量に有意差なし。
急性L-アルギニンの補給が一連のレジスタンスエクササイズからの回復中に筋力・パフォーマンスの増加なしに筋血流量を増加させた。
参考 参考文献2012.ブラジル①ピークトルク(誤解を恐れず言えば「全力の度合い」)や総仕事量に有意差なしなので、筋力や筋持久力の向上が影響したわけではない。
②NO濃度に有意差なしなので、血管が拡張したからではない。
ということで、これが大正解!!
心臓の機能を向上させる
心臓の機能の向上とはつまり、
A:心拍出量の増加
B:心拍数の増加
のうち、AorBかAandBということです。
以下の研究から、アルギニンに関してはAandBとなる可能性が高そうです。
<心拍出量の増加>
・開腹手術を受けたラット(数不明)
・そして血液を一時的に大量に採血し、1時間かけて血液を戻す
・初めの15分の段階で、アルギニン300mg/kgを摂取or食塩水を摂取
・その後の1、4時間の時の心拍出量がどうなっているのかを観察
<結果>
アルギニンを摂取した方が1、4時間の心拍出量が有意に増加した。
<心拍数の増加>
・肝移植を受けたブタ13頭
・13頭を、500mg/kgのアルギニン群とプラセボ群におよそ半分ずつ分けた。
<結果>
心拍数が61%増加した。(運動したわけではない)
トレーナーY
VO₂MAXを向上させる
国際的な化学ジャーナルである「Nature」に掲載された研究報告をご紹介します。
これもアルギニンの心肺機能向上効果によるものの可能性が高いと思っています。
以下にアルギニンとVO₂MAXが関連する研究報告をご紹介します。
・2gのアルギニンかプラセボを45日間摂取
・スポーツパフォーマンス(詳細不明)、BMI、体脂肪量、除脂肪量を測定
<結果>
VO₂MAXのみ向上した。
トレーナーY
ということで以下の報告を見てみましょう。
成長ホルモンの分泌を高めない??
多くの研究で、アルギニンの摂取により成長ホルモンが有意に増加することはないと報告付けています。
・14人のガッツリ筋トレをやっている男性(年齢:25±4歳、体重:81.4±9.0 kg、身長:179.4±6.9 cm、トレーニング経験:6.3±3.4歳)
・朝の8時に絶食状態で、L-アルギニン75mg/kgかプラセボ摂取
・8種目の筋トレ(各75%1RMで10回3セット)
・運動後0,15,30,60分で採血
<結果>
・血中のアルギニン濃度が120%に増加
・しかし、成長ホルモン、成長ホルモンの放出の起点となるホルモンなどはどの時間でも有意差なし。
・それどころか成長ホルモンの1時間の総分泌量はプラセボ群の方が多かった←な、なんと。。
→少なくともアルギニンによって成長ホルモンの分泌を高めることはない??
参考 参考文献2014.カナダトレーナーY
急性摂取でのみ血管を拡張させる!
アルギニンの効果の肝は、血管を拡張させることです。
特に筋トレ中に血管を拡張させることで、パンプ系の刺激を強めることができますので、より大きな代謝的ストレスをかけられる分、筋肥大の効果も高いと言われています。
以下の研究では、アルギニンケトグルタレート( AAKG)の非筋トレ前摂取によって、筋トレ中の血中アルギニン濃度は有意に増加したが、NOに有意な増加はなかった。と報告しています。
・12g/dayのAAKGサプリかプラセボを摂取
・7日間継続
・肘を曲げる筋肉の筋トレ(70→75%で15回を3セット)
<結果>
・直後と30分後でNO増加を示したが有意ではないので、筋トレの結果によるものに過ぎない。
比較的高回数である程度のセットを積んでいるので、その辺はいいと思いますし、肘屈筋群だからダメだったというわけではないでしょう
それならば、
結論から言いますと、
急性摂取では血管を拡張させる可能性があります!!
・最適化された部屋に3日間適応させ、16時間の絶食の後にラットとウサギをそれぞれ3つの群に無作為に割り当て、
⬜︎:l-シトルリン(2.85 mmol / kg)
◯:l-アルギニン(2.85 mmol / kg)
△:l-シトルリンとl-アルギニンを半分(1.43mmol/kg)ずつ
プラセボ:α-グルタミン
のいずれかを1回、口から与えた。
・摂取直後、30分、1、2、4時間で採血し、血中アルギニン濃度と血中NO濃度を分析
<結果>
血中アルギニン濃度 (図Aがウサギ、図Bがラットです。)
→特にシトルリン&アルギニンの混合摂取が、一番血中アルギニン濃度を高めていることに注目です。そしてピークが摂取後30分に来て、1時間後には他と同様の軌跡をたどる感じですね。
血中NO濃度
→同様に、シトルリン&アルギニンの混合摂取が、一番急峻なグラフになっており、他よりも大きなピークを描いていますね。
参考 参考文献2014.日本
しかし、逆に「急性の摂取ではNO産生もパフォーマンスアップを起こさない」とする報告もありますが、その場合は運動前の摂取ではなかつたり、摂取量が少なかったりが主な要因となるのではないか?と思います。
アルギニンを摂った感想は?
やはり体感として感じるのはパンプ感ですね!!
アグマチンを使ってしまうと、アルギニンでのパンプ感が物足りなく思えてしまいますが、それでも十分にいいパンプ系筋トレが出来ました!!
ただし、HCLタイプではなくてただのl-アルギニンを摂取する場合は、強アルカリ性ですので、中和するためにクエン酸を入れたほうがいいと思います。
アルギニンの飲み方は?
これが一番気になると思いますので、先に個人的な見解を述べておきます。
ここから段階的に説明をしていきます。
まず、何gをいつ飲むのか?という問いでポイントになるのは、「安全ラインを超える量はどこからなのか?」、「どのくらい摂れば、何分後に濃度のピークが来るのか?」ということですね。
もちろん体格や性別、競技レベルなど個人個人のバックグラウンドによってベストな量が異なってくるのですがだいたいの目安となる量は研究報告から導き出すことができます。
<安全ラインを超える量は?>
The observed safe level for oral administration of Arg is ∼20 g/d, but higher levels have been tested in sh
Argの経口投与について観察された安全レベルは、約20 g /日です。
参考 参考文献2016.アメリカトレーナーY
<アルギニンの血中濃度のピークは?>
動物研究では、図のようになりました。
(シトルリンが⬜︎、アルギニンが◯、半分ずつが△)
先ほども同様の図の解説をしましたので、カンタンにいくと、
・シトルリンとアルギニンの混合摂取がいい!
・ピークは摂取の30分後!
・アルギニンの摂取量は0.5g/kg
・
ということです。
これは他の研究でも実証されています。
参考 参考文献2017.日本
1時間弱で濃度ピークなので、実際にそこからNOになって血管拡張する時間を考量して1時間後に血管拡張のピークを迎えるくらいか?
↓
パグ太
↓
最近の文献では、経口投与されたアルギニンは胃腸や肝組織にて代謝されてしまい、経口バイオアベイラリティ(=体内での利用率)が低い。
↓
これはアルギナーゼという酵素によって異化されてしまうから。
↓
シトルリンがアロステリック阻害剤として、アルギナーゼ阻害をする
↓
これによりアルギニンが腸および肝臓の初回通過効果に影響されずに消化管および肝臓を通過し得る
↓
だから、アルギニンやNOの濃度スコアは両方一緒に摂取した時は一番だった!!というオチが有力ですね。
参考 参考文献2014.日本
血管内皮細胞の機能を復活させる
However, relatively large doses of 5–15 g/day would be required to improve endothelial function in humans.
ヒトの内皮機能を改善するには、比較的大量の5〜15 g /日が必要です。
参考 参考文献2013.日本以上を踏まえて、20gは超えないようにします。そして血管拡張作用を起こすのは0.5g/kgの摂取で十分に起こすのと、5-15g/dayで血管内皮細胞の機能をサポートすることから、10-20gのアルギニンを摂取したいですね。そしてできるのであれば同僚のシトルリンを摂取するとNO産生がグンっと上がります。
アルギニン初心者の方の場合は、まず身体慣らしに5gからでも十分ですし、実際の反応もあるかもしれませんね。
アルギニンの注意点は?
動物に投与されたアルギニンは、細胞内タンパク質の連続的な代謝に利用され、アルギニンが過剰になったとしても、動物体内で代謝され、蓄積されることはないこと から、食品を通じて動物用医薬品及び飼料添加物由来のアルギニンをヒトが過剰に摂取することはないものと考えられる。(厚生労働省資料)
パグ太
アルギニンの長期摂取
ラットの場合だが、人に置き換えると0,286mg、573mg/kg/dayに相当量を13週間食事や飲みもおに混ぜて摂取させた。
結果、たんぱく合成を高め、体内の白色脂肪の沈着を減少させた。
ラット(数不明、雌雄存在)は実験全体を通じて、健康状態は良好
ラットで3ヶ月OK→体重70kgの人なら40g/dayに相当する量なら3ヶ月安全ということである。
参考 参考文献2015.アメリカ
We conclude that a long-term safe level of dietary Arg supplementation is at least 30 g/day in adult humans
成人のヒトにおける長期安全な食事性アルギニン補給量は少なくとも30 g /日であると結論します。
参考 参考文献2018.アメリカ
BMI25以上の成人101名(男45、女56)に90日間0g,15g,30gのアルギニンHCLを味付きの飲料に混合し、最低2回に分けて摂取。
有害なことなしに15gも30gも摂取できた。
特に30gの方では、有意に女性の収縮期血圧の低下と、男女両方の遊離脂肪酸の血中濃度を低下させた。
参考 参考文献2018.アメリカ
まとめ
トレーナーY
*ただし、アルギニンHCLではなくl-アルギニンの形でとる場合には強アルカリなので、l-アルギニンと同量のクエン酸を加えるなどしてpHと味の調整をした方が絶対にいいです!
最終更新:2019/06/22
[…] 【徹底解説】エビデンスをもとにアルギニンの筋トレ効果を考察 […]
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